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アナログ放送と砂嵐

iwabuchi

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地デジの完全以降7月24日まで残り65日と迫っていますが、皆さんはすでに地デジ対策はお済みでしょうか。私は昨年地デジ対応のテレビに買い換えましたので、現在は何の問題もなくテレビを視聴することができています。買い換えた当日は、あまりの画質の違いに驚いたものです。
たしか、一番最初にデジタル放送で見た番組はNHKの甲子園中継だったと思います。高校球児たちの額に浮かぶ汗やユニフォームについた甲子園の砂まではっきりと見えて、意味もなくうれしくなりました。逆に、アナログ放送を見ると、今までよくこれで我慢できたな、と感じてしまうくらいその差は歴然としたものでした。

さて、私の実家で買ったテレビのリモコンには地デジ、BS放送切り替えボタンの横にアナログ放送に切り替えるためのボタンがついています。デジタル放送が見れる環境でわざわざアナログ放送を見る必要がないので、昨年からアナログ放送はまったく目にしていませんでした。
先日、夕食を食べながらテレビを見ていたのですが、特に興味を引く番組はなく、視線はテレビ以外の場所をさまよっていました。そこでふと目に飛び込んだのが、テレビのリモコンです。そして何の気なしにアナログボタンを押しました。するとディスプレイには久しぶりに見る荒くて、もやっとした映像が!!
次に、地デジに切り替えて、アナログで表示したチャンネルと同じチャンネルを選択します。そして、地デジとアナログを交互に切り替えて画質の比較。アナログ画質の文字の視認性の悪さをしみじみと噛みしめながら、そのまましばらく楽しみました。

アナログ放送のままチャンネルと変えてみると、また別の懐かしいものに出会います。砂嵐です。アナログ放送に特有のあのノイズ現象です。たった半年ほど見ていなかっただけなのにすごく懐かしく感じました。思わず人を呼んで、「ほら、砂嵐!!」と見せて回りたくなるほどです。あと二月ほどで地デジに完全移行してしまうと、この砂嵐が見れなくなってしまうと思うと少し悲しくなりました。受信状況が悪いとき、デジタル放送ではディスプレイの中心に『受信できません』と素っ気なく表示されるのみです。

私は今まで、自分は懐古主義的な考え方の持ち主ではないと思っていたのですが、そうではなかったのかもしれません。砂嵐のように日常で必要とされているわけでもないものでも、長年見慣れれば心の中に一定の位置を占めることになるのでしょう。もしそれがなくなってしまっても必要なものではないのですから、その存在を忘れて普通に生活を送ることができるはずです。しかし、何かの拍子にそれが目の前に現れてきたとき、それがどうしようもなく懐かしく感じてしまうのです。

きっとそれぞれの人がそういうものを持っているのではないかと思います。それは、いつもは忘れてしまっているだけで、話題に上がれば思い出すようなものです。何かを久しぶりに思い出したり、懐かしんだりすることって楽しいことだと思います。日々新たな製品が世に出る一方で、失われていく製品や光景があるわけです。新しい技術を見てわくわくするのもいいですが、たまには忘れてしまっている何かを思い出してみるのもよいかもしれませんね。

担当: 岩渕
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